神楽坂の「粋な」まちづくりと商店街

 蝉の声降りしきる8月3日(土)、商店街研究会は神楽坂地域を訪れ、「NPO法人 粋なまちづくり倶楽部」の山下馨理事長、藤野貴之理事にご講演いただきました。 神楽坂地域は、山手線のほぼ中心に位置し、商圏には1,000〜2,000万の人口を擁するとされるなど恵まれた環境にあります。まちの起源は、江戸時代に芸者のまちとして栄えたことに遡りますが、東京大空襲により一度は壊滅的な状態となりました。現在の姿は戦後から徐々に形成されていったものだそうです。

  しかし、バブル期に行われた急激な開発や東京のドーナツ化現象(空洞化)等の影響もあり、十数年前は一時低迷し、地域の将来展望は不透明になっていたとのこと。山下理事長からは、そのような状況から今の賑わいを取り戻すまでのプロセス、特に神楽坂というまちのSWOT分析、東京におけるポジショニング(他地域との差別化)、まちづくりの方向性、体制づくりなどについて、詳しくご説明いただきました。

  最も印象的だったのは、神楽坂というまちの文化、歴史、風情を生かしたストーリー作り。それをベースとした「ひとの心に訴えかける活動」が、人の連携を生み、結果として神楽坂というまちが力を取り戻すことに繋がったということを実感しました。 講演の後、両氏にご案内いただき視察を行いました。人が一人しか通れないような路地、路地裏の坂道や階段、そこにひっそりと佇む隠れた名店など、宴会等でたまに訪れるメイン通りだけでは測り知れない神楽坂の奥深さ、真の魅力を知ることもできました。

城西支部 土屋 卓志