高齢者にやさしい商店街 - 十号通り商店街を視察して-

 商店街研究会では、9月5日(土)に京王線 笹塚駅近くの「十号通り商店街振興組合」を視察しました。商店街を見学した後、笹塚区民会館にて、秋元理事長から同商店街の成り立ちや商店街活動についてお話を伺いました。

1.十号通り商店街の成り立ち

 商店街の北側に位置する水道道路は明治時代に水路であり、その水路に架けられた橋の中で新宿の浄水場側から数えて10番目の橋が架かっていたため、十号通りという名前になりました。古くから続く商店街であり昭和42年に振興組合となりました。 商店街の構成は、鮮魚店や八百屋など昔ながらの業態を維持している個店及び同じオーナーが業態を変えて商売に取り組んでいる個店が約半分、テナントとして入っている個店が約半分とのこと。新宿から京王線で約5分の好立地のためか、空き店舗はほとんどありません。この商店街の特徴は、シーズン毎に架け替えられる飾り物の賑やかさと道幅の狭さからくる下町的な明るさと活気にあります。来街者は、お店の方との会話を楽しんだり、来街者間でのコミュニケーションを楽しみながら買い物ができます。

2.おもいやり手形

 十号通り商店街では高齢者にやさしい商店街で安心して買物を楽しんで欲しいという思いから2002年10月より「おもいやり手形」を発行しています。65歳以上の方であればどなたでも無料で会員になることができ、既に1000名以上の会員数となっています。カードに名前や住所を記入して持参いただくことで、買物途中で具合が悪くなった場合でも、お店の方が対処できるようになっています。 思いやり手形会員の方には敬老の日に紅白中華まんじゅうを配るといったイベントや急な雨の場合にお店が傘を貸出すといったサービスと共に、それぞれのお店での独自の活用にも知恵を絞っています 。

3.周辺商店街との連携

 笹塚駅周辺及び隣の幡ヶ谷駅周辺の9商店街が連携し様々な取り組みを行っています。渋谷区ケアステーション笹幡地域包括支援センターからの提案で始まった「ささはたカフェ」は地域のコミュニティを良くしようという目的で月1回開催されています。ささはたカフェ準備会メンバーによって運営され、十号通り商店街、笹塚十号坂商店街、幡ヶ谷六号通り商店街の各商店街事務所を活用しています。開催日には緑茶、紅茶、コーヒー、スポーツ飲料等が無料となり、普段外出することが少ない高齢者や小さい子供達の憩いの場所となっています。ここには血圧計や酸素濃度測定器が設置され簡単な健康チェックも可能です。「ささはたカフェ」の開催には地域の大学や社会福祉法人も協力し、まさに地域一体での取り組みと言えます。 地域の方々が安心して買い物ができる施策、そして個と個をつなげていく施策、これらは1つ1つを積み重ねていくような時間のかかる取り組みです。十号通り商店街の継続的な取り組みが成果となり、地域コミュニティの中心としての役割を担っていくようになることを期待しています。

中央支部 清井 孝典