野方商店街振興組合における組合員加入促進の取り組みについて

 商店街研究会では、3月14日(土)に西武新宿線 野方駅前の商店街を視察し、「野方商店街振興組合」事務所にて榎本雅則代表理事より同振興組合が昨年実施した組合員加入促進の取り組みについて話を伺いました。

1.野方商店街の成り立ち

 もともとは畑と雑木林が広がる農村地帯だった野方に鉄道が通ったのは昭和2年。その後駅周辺に少しずつ商店ができるようになったが、大きく変わったのは終戦後とのこと。幸い戦禍を逃れた野方の商店街は、その品揃えの良さと安さが評判となり大変な賑わいになったそうです。最盛期には野方に買い物に来るため、定期券や回数券を用意する人もいたとか。しかし、昭和39年の東京オリンピックに合わせて開通した環状七号線により周囲の馴染み客が立ち退きや環境悪化で転出。その後の日本経済の成長と共に周辺の駅にもそれぞれの商店街が出来てきたこともあり、野方商店街の賑いも一時ほどではなくなりました。

2.野方商店街の特徴

写真  実際に歩いてみると、この街の商店街にはいくつかの特徴があります。ひとつは、まだまだ個人資本の小さな店が多いということ。食品、飲食店であれば、自分の店で作り売るという、少し前だったら当たり前だったやり方を続けている店が多いのです。また、かつて多くの店が集まり激しい競争下にあったため、価格もおしなべて安く、外食の多い単身者、働く人にはうれしい商店街です。商店街は、駅前から南に走る「駅前通り」と駅北側の「北原通り」及び「本町通り」の3つのメイン商店会とそれらを横道でつなぐ「ときわ通り」、「みつわ通り」の計5つの商店会から構成されており、あちこちを見て回って買うというやり方が、しやすいのも特徴のひとつと言えます。

 

3.野方商店街振興組合におけるに組合員加入促進の取り組み

写真  野方商店街振興組合」は、21年前の平成6年に5つの商店会の連合組織として発足しました。しかし榎本代表理事によれば、発足当時約320あった会員数も平成25年には242まで減少し、また空き店舗も平成25年11月には32件になってしまったとのこと。このような状況を打開するため、昨年振興組合では、組合入会のパンフレットを作成し、各通りの商店会の加入説明担当者が、このパンフレットを使って新規出店した店舗や既存の組合未加入の店舗に加入促進の働きかけを行いました。この結果これまでに16店舗の新規加入者を獲得することが出来たとのことでした。各商店会が積極的に働きかけをおこなったことが成果に結びついたようです。 榎本理事からは、商店街の取り組みとしてアーリュブリュット・ストリートギャラリー展やリメンバー311(震災復興チャリティイベント)などユニークな集客イベントを開催していることや商店街が抱える諸問題(店主の高齢化や後継者問題、空き店舗や老朽化した店舗の対策、休憩スペースやトイレ等の公共スペースの必要性、集客の中心となる核店舗の不在等々)についても話を伺いました。こうした課題を解決し、「親しみやすく、ぬくもりのある野方商店街」の維持発展に向けた振興組合の今後の取組みが期待されます。

中央支部 田辺 誠