ピンチをチャンスに変え、スクラムを組んで商圏を創造する-広域商店街としての上野店街の取り組み-

 商店街研究会では、2月14日(土)、上野駅周辺の商店街を視察した。前半は上野エリアの全体動向と広域商店街としての取り組みについて上野観光連盟事務総長、茅野雅弘氏に、後半は上野商店街連合会を構成するなかから3商店会の幹部の方にその特徴を伺った。最初に上野観光連盟と商店街連合会は組織面で同一であると説明を受けた。3月14日の上野東京ライン開通により、JR高崎、宇都宮、常磐線は東海道線と相互直通運転になる。話を伺うまでは、上野は通過点になり周辺の客足は減少するのではと懸念しながらの視察であった。

上野観光連盟の取り組み

 このピンチを逆にチャンスと受け止め、早くから客数を増やす対策を観光連盟が中心なり実績を上げていた。対策のポイントは関連組織との連携にあると考える。

@JR東日本との連携:JRと駅に隣接する町会・商店会と観光連盟は、環境や整備事業について毎月会議を行い調整している。駅構内にアトレ、エキュートをもつJRとは、他の地域のように闇雲に反対する関係になく、案を出し合う共存共栄関係にある。

A横浜中華街との連携:上野東京ライン開通イベントは東海道線沿線からお客様を誘導し商圏を拡大する目的で行う。春節で賑わう横浜と相互交流型のイベントを行い盛り上げる。横浜駅と山下公園での東京春音楽祭、上野・野毛山動物園と商店街でのスタンプラリー、フードバトル、獅子舞交流、駅での中華街とのパートナシップ調印式はマスコミも注目している。

B上野公園、文化施設との連携:開通を記念して国立博物館共通券を発行する。又、新たな企画として東京オリンピックに向けた文化発信事業を上野公園で行う。都や区と連携した伝統文化以外にも秋葉原とも連携しポップカルチャーも考えている。

代表的な3商店会について

@上野中央通り商店会(佐藤一也会長):上野公園との接点にあり上野広小路に約100店舗ある。上野の山との繋がりを大切にした俳句会、落語会、コンサート、ウオークラリーには7,000名が参加し商店会の特典を付けたイベントを行っている。飲食店が急激に増えている。

A上野中通商店振興組合(水谷雅之理事長):うえちゅんの愛称で親しまれている。デザインの異なる街路灯、カラー舗装、監視カメラ、路上での往来数調査のカウンター設置による実証実験などハード面を早くに充実さてきた。芸大生による神輿やハッピコンテスト、親子ハロウィンは人気がある。

Bアメ横商店街連合会(千葉速人広報部長):都内最後のヤミ市の面影を残すガード下に400店舗。海外観光客が多く商店街そのものが観光資源と言える。24時間テレビ募金、ドラマロケや取材も多くタイアップもする。

3.最後に

写真  上野東京ライン開通を祝い桜色のパンダバッチを作成した。これを上野御徒町駅員、アトレなど駅ビル、全商店街の関係者が付けて祝う。商店会への組合加入率は90%を超えるところもある。一枚岩の商店街と駅が強力な地域資源である上野の山でスクラムを組み、古き時代の良さを残しながら時代の変化に力強く対応していた。

 

 

 

三多摩支部 鎌田泰宏