商店街の無料お休み処を復興支援や交流の拠点に活用 〜大森柳本通り商店街(ウィロード山王商店街)を視察して〜

 商店街研究会では、9月13日(土)に東京都大田区の「大森柳本通り商店街(通称「ウィロード山王商店街」)振興組合」を25名の会員で視察しました。同商店街の空き店舗を活用した無料お休み処兼交流スペース「アキナイ山王亭」にて、佐藤一男理事長と高野雄二理事から、アキナイ山王亭をいかに復興支援や交流の拠点として活用してきたか、それらにより同商店街がどのように活性化したかについてお話を伺いました。

1.商店街が震災復興を支援し、「アキナイ山王亭」が生まれるまで

 西は山王の高級住宅街、東には京浜工業地帯の町工場が残るという対照的な姿を見せる大森。最近では、「花子とアン」の作者が住んだ文士村で注目されているようです。  JR大森駅西口を降りて池上通りを少し南下した所にあるウィロード山王商店街。2011年3月、まさにここで新アーケードの竣工披露をしようとした矢先、東日本大震災がおこりました。突然の事件に、披露は無期限延期。震災を目の当たりにし、復興支援をしようと考えた高野理事らは、石巻で被災した鮮魚店店主の津田さんと出会い、「アキンドがアキンドを助けたい」という想いを実現できるパートナーとして津田さんが代表を務める石巻復興プロジェクトを支援先に決定、義援金50万円で当面の商売に必要な商売道具を購入してもらいました。  そして、同プロジェクトのメンバーにウィロード山王商店街で石巻焼きそばを売ってもらう等を経て、商店街の空き店舗を活用したスペース(アキナイ山王亭)で、毎週土曜石巻のアンテナショップとして「石巻マルシェ」がオープンしたとのことです。

2.「アキナイ山王亭」をさまざまな交流の拠点に

写真  山王の高級住宅街に位置する商店街も高齢化に直面。高野理事は来街者を増やす目的で「おおた高齢者見守りネットワーク(みまーも)」、「地域包括支援センター」等高齢者が安心して暮らせる街作りを目指すプレーヤー達と連携し、アキナイ山王亭で手芸教室、ダンス等多くのイベントを企画。「大森コレカラカイギ」、「リトルあきない」「日本一の芋煮会」など世代を問わず人が集う場作りに余念がありません。  こうした取り組みにより、高野理事によれば来街者は1.5倍に。地元以外からも足を運んでくれる人が多いんです、と理事は目を輝かせて語って下さいました。外部からの出店もあり会員店舗数も増加傾向、地元スーパーとも共存。これら取組みはメディアにも取り上げられ、また、平成24年の東京商店街グランプリの準グランプリを受賞されたとのことです。


また訪れたい商店街

 実は大森、自分が社会人生活をスタートした当初に研修をした場所、寿司屋、呉服屋、金属店が無くなったとの話に胸を痛めましたが、今後、交流イベントや金海堂製菓、山王カフェ、ケララの風、スリーショップ高野など魅力的な個店を訪ねに、再び足を運んでみようと思っています。

城南支部 西岡 邦彦