文化のかおる、次世代を育てるまちづくりを目指して 〜赤羽スズラン通り商店街の取り組み〜

 商店街研究会では、10月18日(土)に北区の赤羽スズラン通り商店街振興組合を訪問し、森岡理事長にお話を伺いました。赤羽スズラン通り商店街は、第9回東京商店街準グランプリを受賞しています。

1.赤羽スズラン通り商店街の概要

 赤羽スズラン通り商店街は、通称「LaLa(ララ)ガーデン」と呼ばれ、JR赤羽駅 北改札東口から徒歩3分の便利な場所にあります。駅から商店街の方に歩いて行くと、道幅12mの広い道路に直線で300m以上続く、緑色の大きくて明るいアーケードとLED照明が目印です。 商店街に入るとまず目に付くのが、道路の中心部に整備されている駐輪場です。2車線あった車道を1車線の一方通行にして、捻出した土地を来街者向けの駐輪場として日中に開放し、多くの利用者があります。 道を進んでいくと、交差点には全部で4体の彫刻が置かれており、AED付の掲示板も2か所設置されています。商店街通りに面した北区立赤羽岩淵中学校は、建て替え時に校舎を商店街側に前進させ、商店街のカラー舗装や街区とマッチした外装が施されています。そして駅と反対側の出口付近に、空き店舗を活用した子育てサロン「ララちゃんのおうち」を整備し、登録料不要の一時保育事業を行っています。

2.赤羽スズラン通り商店街の活動

写真  当商店街の一連の環境を整備した「オアシスアート・ララ・ガーデン整備事業」は、平成23年に地域商店街活性化法に基づく商店街活性化事業計画の認定を受けて始まりました。平成9年に完成した全天候型アーケードのリニューアルと共に街区の整備も同時に行う当事業は、認定時期に東日本大震災の影響を受け、他の商店街の申請額は削減されましたが、申請通りの満額回答を得たそうです。これは複合的な取り組みの計画内容が評価された結果でしょう。 4体の彫刻は二科会の評議員も務める森岡理事長の人脈で5年リースの契約とし、初期購入費用が削減されています。また、北区の教育委員も務める理事長の橋渡しにより、赤羽岩淵中学校の建て替えが商店街の景観に合う計画になったと言えます。理事長の人間関係が、商店街の活動に好影響を与えています。 整備事業の結果、都内ワースト1だった赤羽駅前の放置自転車が減少しただけでなく、商店街の通行量と各店舗の売上高が約10%増となったそうです。「悩ましい自転車を排除せず、整理し取り込むことで商店街の売上増加にもつながった」という理事長の言葉が印象的でした。


3.次世代の継承に向けた取り組み

 整備事業により設置された駐輪場は徐々に満杯となり、北区と話し合いが始まりました。また商店街内の横断幕、バナー、フラッグへの広告の募集を開始しました。 特筆すべき点は、商店街役員を有給としたことです。まちを次世代へ継承するため、役員活動に報酬を出す新しい取り組みの今後の成果に注目したいと思います。

城北支部 大江 隆夫