地域活性化の原点はイベントにあり! 砂漠はオアシスになるか(春日町本通り商店街)

京急新馬場商店街振興組合 商店街研究会では、2月6日(土)練馬区の「春日町本通り商店街」を視察し、当商店街の会長である小泉徳明氏に小泉流「まちづくり」のお話を伺った。
地域の冷蔵庫としての役割も担ってきた商店街の衰退により、遠出して食料調達できない老人を中心に栄養不足となっているフードデザート現象(食の砂漠化)が社会問題になりつつある。このような折、地域と密着して活性化させている元気な商店街として、第5回東京商店街グランプリ活性化部門の準グランプリを受賞している。

 



1.ハードよりソフト

 当商店街は人通りの多い駅前ではなく、都営大江戸線豊島園駅と練馬春日町駅間に位置しており、都道の両側に40店立地しているなんの変哲もない近隣型商店街である。フラッグすら無く、派手さは皆無。小泉氏曰く、寂しい商店街だからこそイベントをやり続けるというのが方針である。当商店街も例にもれず、直面している問題はある。地域住民の高齢化や生鮮三品小売店の空き店舗も目立ち始めているが、一方で商店主の世代交代も進み、魅力的な店舗も増えて街並みが僅かに変化し始めている。

 活性化策の大きな特徴は2つある。1つは、商店街の中央にある空き店舗(12坪)をスポットで借り、イベントスペースとしてコミュニティの場や情報発信拠点に活用している。2つは、練馬区と防災協定を締結している福島県の塙(はなわ)町とコラボを組んでいる点である。

2.農商工連携?

地域を活性化させるイベントは以下である。

(1)ふるさと「ふれあい市場」

 ほぼ毎月、イベントスペースにて2日間開催している物産展である。新鮮な生鮮品をはじめ、多彩な名産品などを塙町の道の駅から仕入れることで、毎回品揃えに工夫している。口コミにより毎回300人ほどの来場者で賑わっている。

(2)100円商店市

ふれあい市場と同時開催している。各個店の陳列商品の一部を100円均一にして特売する。購入すれば1店舗につき1スタンプ、3つ揃うとふれあい市場にて福引できるプレミアム(特賞は塙町宿泊施設の無料宿泊券)も付与されている。商店街内の回遊性の向上に大きく寄与しているであろう。

(3)農業自然体験

 塙町の休耕田を活用した農業体験(お米、野菜作り)1泊2日ツアーである。有料会員制であるが、新米が年に4回配達される特典もある。

3.今後に向けて

 産地である塙町には巨大消費地への販路拡大というメリット、消費地である商店街を含めた地域の活性化というメリットが生まれ、相乗効果を発揮していると言える。
しかし当商店街には、ただの物売り商店街からサービスを売る商店街へ向けた長期的なビジョンがある。そのための課題として、小泉氏は2つ挙げられた。1つは、空き店舗を活用した新しい業態店を開店すること。近隣の高齢者に高い利便性を提供できる新鮮野菜の宅配サービスである。2つは、次世代役員を担う人材を育成すること。小泉氏を拝見していると、高いリーダーシップ力と機動力が求められると感じとれる。


春日長本通り商店街



報告者: 城南支会 鈴木 恒雄(のぶお)