こども歌舞伎で活性化 ―奥山おまいりまち商店街の取り組み―


奥山おまいりまち商店街の子ども歌舞伎  商店街研究会では、11月13日(土)、平成21年度商店街グランプリ(イベント部門)を受賞した、浅草の「奥山おまいりまち商店街振興組合」を視察しました。そして、当商店街の白倉儀輝理事長および商店街を支援しているNPO法人「まちづくり推進機構」の関根博之理事長より「こども歌舞伎」の話題を中心に商店街活性化について伺いました。

 

 


1.商店街の概要

当商店街は、浅草寺本堂とつくばエクスプレス浅草駅とをつなぐ参道的な場所に位置します。店の数は32、飲食店と衣料品店が多い商店街です。

2.活性化事業の経過

 もともと奥山は江戸時代、見世物小屋や大道芸で賑わった地域です。その後政策的な事情で浅草の娯楽の中心は六区に移りましたが、商店街の活性化を検討する際、このような歴史的背景を踏まえ、活気あふれる江戸の街並みづくりという発想が生まれました。本格的な取り組みが始まったのは平成7年からとのことです。
  景観形成のために、店舗ファサードや壁の改修、路面をアスファルトから石畳に換えるなどテーマにそったさまざまなハード面の取り組みが為されました。一方、ソフト面では、縁日や見世物小屋、大道芸まつりなど、毎年趣向を変えながら話題性のある江戸文化イベントを開催してきました。

3.こども歌舞伎

 このような取り組みを継続するなかで、「こども歌舞伎」というアイディアが生まれました。初開催は平成20年10、11月。東京、山梨、埼玉、群馬などからこども歌舞伎を招致し、商店街内特設会場にて、日曜日8回に渡って実施したところ、8,000人の観客を集め、売上高125%という経済効果を実現しました。
  翌年、会場を浅草寺境内に移し、回数を14回に増やしたところ、19,600人の観客を動員、更なる注目を集め、みごと商店街グランプリを受賞しました。
  視察当日は、ちょうど今年の「こども歌舞伎」最終週の土曜日であり、実際に歌舞伎を見物する機会に恵まれました。小、中学生とは思えぬ堂に入った演技に拍手喝采、その後インタビューのコーナーがあり、そこでの受け答えは何とも愛らしく、観客から暖かい声援が送られていました。

4.今後の課題

 イベントでの話題づくりには成功しているので、各商店がさらに潤うよう、歌舞伎文化にちなんだ商品開発を活発に行なう予定です。また、隣接する商店街と協同して江戸まちゾーンのアピールを積極的に推進していきます。

5.NPO法人の支援

 この事業には、NPO法人が深く関わっています。会員数の少ない商店街にとっては、このように支援団体との連携が非常に重要だという印象を受けました。

報告者: 城南支会 富岡 淳