納得できる商品にこだわる ―早稲田アンテナショップ こだわり商店―

  商店街研究会は3月28日(土)に早稲田大隈通りにある早稲田アンテナショップこだわり商店を訪問、安井浩和店長とお父さんの国会議員、安井潤一郎商人議連幹事長からお話を伺った。

スーパー稲毛屋 再出発の決意

 こだわり商店の前身は、地域密着のスーパー稲毛屋である。稲毛屋は古くから近隣の住民の食生活を支えてきたお店で、安井浩和氏は父親のあとを継ぎ、10年間店長として采配を振るってきた。しかし次第に店の老朽化が進み、一昨年の春には廃業を決意した。
  ある時、廃業の話を知った常連客から、「お店やめちゃうの、寂しくなるねぇ。私はあなたが小さいとき、オムツを変えてあげたんだよ」と声をかけられた。小さいときは、母親がレジうちで忙しく、店に来たお客様が自分の世話をしてくれていたのだった。
  安井さんはこの言葉を聞いて、生まれ育った早稲田に強い愛着を感じ、「これからも地域の役に立てるお店として、ずっと早稲田で商売を続けよう」と決意した。

 しかし、これまでと同じようなスーパーを続けることには疑問を感じていた。数千ものアイテムがあるスーパーで、商品を一つ一つ確かめるわけにも行かず、食べたこともないのに「この大根美味しいよ!」と言いながら販売する自分に後ろめたさを感じていた。
  再出発に際して、自分の舌で確かめて、自信を持って勧められる商品だけを販売していこう、それが本当の商売のやり方ではないのか、と考えた。

こだわり商店の品揃え

 こだわり商店では、現在、栃木県茂木町(里山)、宮城県三陸町(海産物)、東京都檜原村(山)から、商品を産地直送で仕入れている。店にある商品はすべて、安井さんが実際に食べてみて美味しいと思った商品ばかりである。
  こだわり商店は最初、茂木町との連携に取り組んだ。町からは特産品として160-70物商品が送られてきたが、実際に食べてみて、安井さんがお客様に勧められると思った商品は、半分にも満たなかった。その後南三陸町、檜原村とも連携し、次々と新しい商品を導入しているが、仕入れに際しては必ず産地に出向き、生産者と会って、舌で確かめた上で、これはと思った商品だけをお客様に販売するようにしている。

こだわり商店の取組

 イナリ通り商店街は、都営三田線「板橋本町」「本蓮沼」両駅から徒歩五分の中山道清水町交差点に位置している、30店舗足らずの小さな商店街である。当プロジェクトは、商店街が、企業、町会、教育機関、行政と連携して地域資源を活用し、商店街を中心とした活力ある地域を創造することを目的として組織された。iiプロジェクトは「行きたい街、イナリ商店街」から名づけられたという。

 

 

 

 

安井潤一郎先生との懇談会

 今回の視察の後半は、国会議員であきんど議連幹事長を務める安井潤一郎先生との懇談会である。商店街活性化のために東奔西走するあきんど議連の取組のほか、21年度の商店街施策の目的や具体的内容について、約1時間にわたってレクチャーを受けた。

報告者:服部 恭典