人形町商店街協同組合を視察して 〜イベントやマップ、HPで情報発信を続ける老舗商店街〜

 東京支部商店街研究会では、3月13日(木)、中央区日本橋人形町にある人形町商店街協同組合を視察し、理事の皆様からお話を伺った。

1.商店街の歴史

 人形町は、江戸時代初期には江戸歌舞伎の中村座・市村座二座が開設され、それを中心に人形浄瑠璃や芝居小屋、人形師達が集ってきて商業文化都市として栄えていた。明治41年には、近代的商業組合である「商誠会」が組織され、昭和50年から現在の名称となった歴史ある商店街である。
  現在も、明治座が域内にあり、水天宮や大観音寺をはじめ多数の老舗商店と、新興組合員が共存共栄している。

2.商店街の活動

 当商店街では、歴史に安住することなく、「ここは下町人形町 粋な情緒のお買物」をキャッチフレーズに、時代の変化に合わせて、数々の活動を行ってきた。
  主なイベントには、中元・歳末時の「現金つかみ取り」抽選、「花まつり」、5月の「稚児行道」、8月上旬の「セトモノ市」、10月中旬の「人形市」等がある。町会の餅つき大会への協賛、毎月の会員によるクリーンデー(地域清掃)なども実施している。
  その他、季刊誌「にほんばし人形町」発行(組合員および人形町内協賛店で無料配布)、ホームページ「人形町」からの情報発信(毎月内容更新)、商店街ショッピングマップ作製・無料配布、本年度から始まった「人形町通りリニューアル整備計画」の遂行等を行っている。

3.地域資源を活用した「人形市」開催

 人形師が多く住んでいたなど人形に縁の深い当商店街では、平成18年より10月15日の人形の日前後3日間「人形市」を開催している。全国から集った約50の人形の展示・販売テントが人形町通りの両側に配置され、人形関連の公演や大観音寺における人形供養なども開催される。
  第2回目となる平成19年には、理事長の「あらゆる手段を使って宣伝しよう!」の大号令の元、プレスリリース、新聞折込チラシ配布、ポスター掲示、地下鉄広告の実施等、広報担当理事が奔走した結果、3日間の人形市で約30万人を集客した。期間中は、日本橋地域を周遊する無料バス「メトロリンク」の人形町エリアへの臨時乗り入れを実施し、来街者の利便性を高めた。また、来街者には、人形市の配置図とともに商店街飲食店情報マップを配布し、イベントの開催が組合員の売上向上に直結するという喜ばしい結果となった。

4.ハード整備計画の実施

 当商店街では、平成17年9月に「日本橋人形町商店街振興プラン」を策定し、それに基づき人形市の開催や街路整備を始めている。
担当理事の尽力により、安心して歩ける歩道をテーマに、歩道幅の拡充と歩行者の通行の妨げとならない路上駐輪施設の設置等の人形町通りリニューアル整備計画(仮称)を確定し、本年8月着工平成22年3月完成予定となっている。
  歩きやすくなった歩道で開催される人形市は、よりにぎわうものと期待される。

報告者: 山川 美穂子