地域に密着したアンテナショップ 〜吉祥寺・麦わら帽子の視察報告〜

10月25日(木)商店街研究会12名と特別参加の青山学院大学院生1名が吉祥寺の地方物産アンテナショップ「麦わら帽子」を訪問しました。当日は店の定休日ですが、店内を視察し店長(営業統括マネージャー)の村田和彦氏から説明を頂きました。

1、アンテナショップの概要

 当店は平成13年10月に開店し、丁度6年を経過しましたが、武蔵野市が従来から行っていた交流物産展から発展したものです。場所は吉祥寺駅から歩いて数分で、中道通り商店街内にあり、住宅街に近接しています。
運営主体は(有)武蔵野交流センターで、資本金は500万円、武蔵野市及びその友好都市などが出資しています。
店舗は15坪で効率的運営が行われており、近隣住宅地の良質な客層といえる固定客を持つ点が大きな強みになっています。

2、アンテナショップと生鮮品販売

 当店は、地方物産を扱うアンテナショップという側面と、地元における生鮮野菜果物の販売店としての二面を持っています。
取扱商品は、@武蔵野市の友好都市7市町の米・魚介類・加工食品・酒などの特産品、A友好都市より産地直送および市内近郊農家からの生鮮野菜果物から成っており、仕入商品は全て買取です。
国産・無添加・安全食品をコンセプトとして地元の支持を得ており、店頭販売だけでなく市内の保育園・学校などにも納入しています。

3、黒字転換に至る取組

 現店長就任後、昨年度は売上が30%強拡大し、今期は更に黒字転換が見込まれており、市からの赤字分補助金への依存から脱却できると予想されています。
業績向上に至る取組としては、@商品力強化策として、デイリー商品中心にアイテム数を増強し、生鮮食品の売上を店の売上全体の半分以上に引き上げるとともに、回転率を高めたこと。A企画力強化策として、イベントに注力し各地の物産品などの情報発信を進めてきたこと。B販売員の強化策を実施してきたことがあげられます。
  多くのアンテナショップが採算面で苦戦する中で当店の黒字化達成は特筆されるべきことです。その原動力となったのは、店長が自らの長期に亘る百貨店勤務の経験を生かして基本に忠実に取り組んできた施策であり、その着実な推進が実を結んだものといえます。

4、地方物産紹介のイベント

 毎週末に毎回趣向を変えたイベントを行っており、友好都市の特産品を紹介・提供していますが、11月は遠野フェア、南房総フェア、安曇野フェア、酒田フェアなどが予定されています。

5、課題と今後の展開

 第一に、吉祥寺を訪れる多くの一般客の認知度を高め、当店への誘致を図ること、第二に、毎日行われている生鮮品の仕入について、物流費負担の低減、 第三に、店内のPOSレジによる販売データの分析活用、が課題とされています。
  周辺には成蹊大・東京女子大などの大学があり、商学連携を進め、学生のマンパワーの活用を図ることも課題であり、今後の取組が期待されます。

報告者:大沼健三



 

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