地域連携で快適・便利なまちづくり 〜江戸川区・瑞江駅前商店会の視察報告〜

写真 東京支部商店街研究会では7月23日(土)に、城東支会の高橋順一先生にも同行いただいて瑞江駅前商店会を視察した。杉本英臣会長より商店街の活動状況や課題をお伺いするとともに、区商店街連合会会長でもある同会長より区全般にわたる幅広い知見を得る機会となった。

 

 

1.「未加入ゼロ運動」で加盟店倍増

 都営地下鉄瑞江駅周辺地区は20年前の駅開業を契機に拓けた新興商業集積で、飲食を中心としたチェーン店が多数を占める。それだけに店主の地域への所属意識は薄く、商店会がまちづくりに取り組むにあたって、その加入率の低さが課題となっていた。

 そんななか区レベルで昨年末、区長・東京商工会議所江戸川支部会長・区商連会長連名による商店会加入依頼文書が合意をみた。以来これを携えて未加入店の勧誘に回り、3ヶ月で50店の新規加入を得るなど会員100店舗体制へと組織強化している。

2.10商店街で共通ポイントカード

 販促事業では近隣商店街との連携が特徴だ。7年前にスタートした共通ポイントカードは、加盟約140店で年20億円を売上げる。毎月1、2、3日の全店2倍出しをはじめ年6回の共同販促チラシ、旅行企画、TDLパスポート券への交換などで固定客化に成果を挙げて、加盟店にとっては大型店との差別化のカナメとなっている。
 さらに今年の中元企画では、三角クジによる12商店街・300店共同のサマーフェアを展開。商店街同士が企画を競い合う好機となるとともに、スケールによる訴求強化や販促費用対効果の向上も見込めそうだ。

3.市民を巻き込み防犯や清掃活動

 地元市民との連携にも力を注ぐ。2年前より全会員店頭に「瑞江駅前まちづくり宣言」を掲示するとともに、実践活動に着手。毎月1日の清掃活動や毎週土曜日の防犯パトロールなど、市民と協働で続けている。
 防犯パトロールには今や100名超もの市民がボランティア登録。地元警察署管内の犯罪発生率低下など快適な買い物空間に資するとともに、活動を通じた市民との信頼関係が店の売上げ面にも寄与しつつある。

4.ハードとソフトを両輪に

写真今後の課題は、続々と新築される近隣マンション群への新規流入者層の取り込みが挙げられる。とくに共通ポイントカードについては、従来の固定客に加えてこうした新規ファミリー層への利用促進を図りたい。
  また加入促進面では、商店会未加入によるデメリットを店頭で実感させる工夫もほしい。地下駐輪場利用料や市民ボランティア謝礼に、ポイントを地域通貨的に盛り込むなど、客が自発的に未加入店にポイント取扱いを求めるような仕掛けを凝らしたい。
  ハード面では駅前整備が来月に完成予定。商店会が地道に培ってきた地域のソフト&ヒューマンウェアは、このハードとともにまちづくりを支える両輪となりそうだ。

報告者: 河合 陽子