新東京銀行と商店街連携の可能性

 東京支部商店街研究会では、5月20日(金)東京支部会議室に東京発の金融改革を目指す「新銀行東京」の提携戦略推進及び営業部門の担当者をお招きし、キャッシュカード(ICカード)を活用した商店街との連携構想についてお話を伺った。

1.キーワードは「常に新しい」

 新銀行東京は、日本経済の再生に向け、眠れる個人金融資産を「生きた資金」として中小企業に供給する「東京発金融改革」
を推進している。具体的には、地域経済活性化のプロモーター機能、金融・行政・提携企業のITハブ機能などを果たすことを目指しており、(社)中小企業診断協会東京支部とも提携している。

2.ICカードを新たな金融インフラに

 これらの機能を果たしていくために、同行が戦略的な金融インフラとして位置づけ、積極的に展開していこうとしているのが、多機能ICカードとして利用可能なキャッシュカードである。マイレージや他社ポイントの集積、デビット決済、クレジット決済、交通機関等の小額決済機能等が順次搭載される。
 既に、JAL、三越とは提携済みで、SUICAは近日中に提携予定、将来的にはパスネット、スポーツ施設・文化施設の入場料決済、自動販売機などの小口決済機能を搭載する予定である。

3.商店街での活用可能性を探る

 多機能ICカードという新たな金融インフラを活用して、「住民の豊かな生活」「便利な暮らし」に貢献していきたいと意気込む同行であるが、カード普及戦略の重要な柱となるのが商店街での活用である。ICカードの領域にはポイント機能を内蔵したアプリケーションを搭載している。
この領域を商店街ポイントカードなどに活用(有償貸与)することで、

  1. 商店街にとっては、カード会員の拡大、発行費用削減とサービスの活性化

  2. 住民にとっては、一枚のカードで様々なサービスが受けられる利便性向上に加えて商店街でのサービス還元

  3. 地域にとっては、商店街の利用促進と住民サービス向上

 といった、地域活性化に向けた成長スパイラルを実現することが期待される。
システムの開発は、同カードの仕様に合わせて商店街が行い、費用も商店街負担を想定しているが、ICカードで蓄積した顧客データを、商店街で独占的に利用でき、自由に活用することができるなど、メリットも大きい。エコポイントや地域通貨との共用も可能であり、地元自治体の政策とコラボレートすることができれば、商店街の負担を軽減できる可能性もある。既に品川区内の商店街とこの秋を目途に、ポイントカードサービスを始める交渉が進んでいるという。

4.中小企業融資にも注目

 最後に、融資制度にも触れておこう。
 同行の融資は、「技術力・将来性」「ポートフォリオ」の2種類で、原則として無担保、第三者保証は不要である。定量評価のみで実行を判断し、安定的なキャッシュフローがあれば無担保で融資を受けられるなど新しい試みもある。今後、中小企業の自助努力のサポート役として、同行の融資制度が発展していくことが期待される。



報告者: 山川美穂子

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